「作り手が死んでも、作品は残る。芸術とはそういうものだ」

ばるぼら (上) (角川文庫)

ばるぼら (上) (角川文庫)

小学校の時の先生が亡くなりました。
その先生はとても厳しく、
授業中にひじをついてはいけない、
給食を残してはいけない、毎日鉛筆を削っているかを確認する。
などの徹底した先生でした。私は正直先生のことが嫌いでした。
緊張して窒息するような毎日でした。


ですが、ある日習字の時間に新聞を探していた時に「鉄腕アトム」の絵が描いてある新聞を先生が見つけました。

先生は絵を見つめ、ぽつりと私に「私、手塚治虫の好きなのよね。」と言ったのです。私はびっくりしました。
先生は私にとって悪魔なような存在で、「自分の嫌いな相手に好きなものがある」という事を知った時私は何故かホッとしたのです。「この人も人間なんだ」と。
話をよく聞くと先生は手塚治虫の大のファンで、家に全作品があるという事などを話してくれました。
私は先生の事を思うと手塚治虫の事を思い出しますし、手塚治虫の事を思うと先生を思い出します。

そして今手塚治虫の漫画にハマっています。先生の事もありますが私はいわゆる「名作」というものに恥ずかしながら触れていないのです。元々水木しげるや、松本零士ジョージ秋山などの古い作品が好きなのですが…前々から読む機会があったら読みたい!と思ってました。

ということで、まず手塚治虫の「ばるぼら」というものを読みました。
読んだ理由は知人のハンドルと一緒だからという事です。
手塚治虫の「ばるぼら」は「手塚治虫らしさ」を感じました。
鉄腕アトム」などの明るい作品のイメージは私は手塚治虫に対して思ってなく、「奇子」みたいな なんとなく暗い、後味悪い!みたいなイメージがあったから「手塚治虫らしいな」と思ったのかもしれません。

読んだあとは最後の「作り手が死んでも、作品は残る。芸術とはそういうものだ」という言葉が頭からしばらく離れませんでした。
言っていることは正しいし、事実なのにその言葉は私をひどく、寂しい気持ちにさせるのです。

次は明るい手塚治虫を読んでみようと思います。
そしていつか先生のお墓に行けたら、と思います。
今日の日記はここで終わります。